Doemens Biersommelier (ドゥーメンスビアソムリエ) の第3期生14人が誕生。3月30日に試験が、3月31日に認定式が執り行われました。日本では、ディプロムビアムリエとして、2018年にジャパンビアソムリエ協会が初回認定講座を開講、翌年に10人の第1期生を送り出しました。コロナ禍による休講を経て、2023年に第2期を開講し、13人が認定を取得。資格名称をドゥーメンスビアソムリエに改め、2025年3月31日をもって計37人が日本で認定された有資格者となりました。これにドイツ本国で資格を取得した日本在住者2人を含め、国内では現時点で39人が、この国際資格を保有しています。
認定式では講師及び試験官としてドイツから来日したDr. ミヒャエル・ツェップ氏が祝辞を述べました。「みなさん、ディプロムへの仲間入りおめでとうございます。Doemensビアアカデミーは1895年にミュンヘンで発足。現在は大きなキャンパスを構え、ビール醸造の教育、試験システムを提供しています。今年は130年を迎え、ドイツ本国では、今まさに週末3日間にわたる記念イベントを開催しているところです。」ディプロムの出発点は2004年。ドイツでビールはポピュラーな飲み物ながら、飲み手の多くは、その原材料と色くらいしか知らない。もっとエデュケーションを、と開発したプログラムです。当初はドイツ語のみでスタート、次第に南米、イタリア、ブラジル、アジアとインターナショナルに。日本では現ジャパンビアソムリエ協会理事のセバスティアン・ホヘンタナ氏が中心となり、2017年にドイツのカリキュラムを日本向けにローカライズしたものを完成させ、2018年に本格始動しました。
認定証はドイツ語と英語のどちらかを選ぶことができます。今日、Doemens Biersommelierの資格保有者は世界に7,500人以上。この資格を取得することで、ビアソムリエ世界大会の国内予選のエントリーが可能になります。開催は基本的に2年に1度で、直近では今年9月13日と14日にミュンヘンで第8回目大会が予定されています。
バッジも授与されます。認定式では、ツェップ氏がひとりひとりにバッジをつけて下さいました。「このバッジがあれば、ビールのイベントや展示会で、仲間を見つけられますよ」と言われ、みなさん嬉しそうな笑顔。バッジの裏留金が従来のタイタック式からマグネット式に変わり、こうしたこともスムーズにできるようになりました。
試験の成績上位者には、ツェップ氏とホヘンタナ氏の私蔵品から、とっておきの賞品が授与されます。今年は2名が同点3位となったため、計4人が対象者となりました。写真左から早川卓浩氏 (3位)、横山令氏 (2位)、Dr.カーステン・ボイクマン氏 (1位)、石坂隼氏 (3位)。1位の人から順に好きなものを選べます。テーブルの上のビールは左から、オーストリアのHofstetten G’froren’s Iced IPA。アイスボックにヴィック・シークレットのフレッシュホップを投入したIPA。ギフトボックス入りのFirestone Walker Parabola Imperial Stout 2001は、アメリカのクラフトビール文化を築き上げたブルワリーの第2ヴィンテージです。スイスで生まれオーストリアのブルワリーが復活させたSamichlaus Bier Classic 2009は、ドッペルボックを最後に上面発酵で仕上げたABV14%のラガー。毎年、サミクラウス (=聖ニコラウス) の命日と言われる12月6日に仕込み、瓶詰め前に10ヶ月間熟成。30年瓶熟するとも言われています。一番右はメキシコのCalavera Mexican Imperial Stout。ABV9%、IBU 65+のスタウトに乾燥唐辛子を入れた独特な味わいのビールです。いずれも長期瓶熟成のポテンシャルの高いビールで、試験前日の最終講義、ビールのエイジング講座で理解を深めた合格者には最高のご褒美でした。
第3期生の首席、Dr.カーステン・ボイクマン氏が乾杯の発声を。持参した自前のMünchner Brauerei Akkademie (DOEMENS醸造学校の前身) オリジナル陶製ビアマグを軽々と持ち上げる姿は、なんとも力強く、風格があります。Prost!!
乾杯のビールは、1月に東京エールワークス醸造所での実習で仕込んだ2アイテム。講習の殆どがオンラインで行われるなか、テイスティング、フードペアリング、サービスのトレーニングと並び、リアルに顔を合わせて行うプログラムの中でも特に重要なのが醸造実習です。受講生が2班に分かれ、ヘッドブルワー、ブルワー、マーケティング担当、清掃担当など、役割を決めての共同作業です。それぞれ課題として与えられたビアスタイルをレシピに従って醸造し、どのように販売するかなどを想定し、ブルワリー名やアイテム名を決めるマーケティング実習も含みます。左の淡色ビールは、インペリアルIPAチームのSix Sense BreweryがつくったHop Storm。ホップがふんだんに使われていますが、高いアルコールとモルティさが相まって、バランスよくスムーズ。濃色ビールの方は、ブラック IPAチームの39 Brew MuchがつくったNight Cat。夜を想わせる漆黒の色合いですが、ナイトキャップというより覚醒して元気が出る要素もあるとか。どちらも甲乙つけがたい美味しさで、互いのチームの出来栄えを称え合いつつ、杯を交わしました。
10月開講以来、約半年の間、受講生らと並走して下さった山上昌弘代表理事(左)と、セバスティアン・ホヘンタナ理事。昨年に引き続き、無事にコースを終えて、心からの笑顔です。お世話になりました。
懇親会では実習ビールの他、会場となったシュマッツのビールもふんだんにありましたが、このような可愛らしいラベルのボトルも並びました。Twin Peaks Mountain Brewingの経営者であり醸造家のDr.カーステン・ボイクマン氏が、自社ビールを提供下さったものです。第1期、第2期含め、ブルワリーや飲食店で既にプロとして働いている人から、それを目指す人、全く別業界に身を置きながらも、ただただビールが好きな人など、有資格者の顔ぶれはバリエーション豊か。知識も経験値も異なる人々が集まって共に学ぶ楽しさが、ここにはあります。
認定式は平日の日中でしたが、第1期と第2期のDoemens Biersommelierの先輩がた、ゲスト講師を務めた方々の参加もあり、共に祝って下さいました。同窓生としての絆を大切に、この輪は広がって行くことでしょう。
Doemens Biersommelierの第4期は、2026年に開講予定です。約4か月100時間程度のカリ