10月23日、第1回目のBiersommelier-Stammtisch(ビアソムリエ・シュタムティッシュ)が開催されました。シュタムティッシュとはドイツの飲食店においては「常連のテーブル」という意味で、地元の常連客が集まってお酒を酌み交わし楽しむところ。転じて、特定の趣味や関心ごとを共有する仲間が定期的に集い、交流するコミュニティスペースのような意味も持つようになっています。
Biersommelier-Stammtischは、ビアソムリエが集まる場を定期的に設けることを目的とし、ドゥーメンスビアソムリエの西紀之さん(写真右)が企画しました。「毎月23日、ここに来ればビアソムリエの誰かに会える、という場にしたい。セミナーや勉強会とは違い、ざっくばらんに飲みながら、ビールを楽しむためのアイディアを出し合う企画会議などもできたら。また、海外のディプロム有資格者が来日時に立ち寄るとか、日本に進出したい醸造家がビアソムリエの意見が聞けるような場に発展させることも視野に入れている」と、言います。
当面は、シュマッツ・ビア・ホール 日比谷グルメゾンで毎月23日に開催が基本ですが、11月はmsb田町ステーションタワーSになる予定です。「なぜ23日なのか?」。それは、4月23日がビールの日だから。1516年のこの日、バイエルン公ウィルヘルム4世がReinheitsgebot(ビール純粋令)を公布したことは、ビアソムリエのみなさんなら、ご存知ですよね🍺
趣旨説明と参加者らの自己紹介が終わったら、この日のスペシャル企画。ドイツの新興ブルワリー、Frau Gruber(フラウ・グルーバー)のビール試飲です。勉強会っぽくしたくはないということで、スクリーンを使用したり資料を配布したりではなく、スマホなど各自の端末を使ってQRコードで情報にアクセスする形式です。テイスティングコメントもフォームから書き込み、後日、専用ウェブサイト上で見ることができる仕組みになっています。
ビアレストランでの開催ならではの、料理を美味しく味わう愉しみもあります。真剣にテイスティングする人がいる傍ら、飲んで食べて語り合う人もいて、自由な空気が漂う空間です。飲み放題ドリンクメニューの中には、定番ビールの他にフェストビアなどの季節アイテムもあり、ビアソムリエたちのグラスを持つ手が止まらない様子でした。
食後のアトラクションとして、ビアシュタッヒェルが登場。炎で熱した鉄の棒をグラスに注いだ冷たいビールに浸けて、ビールを瞬間的に温める、英語で言うところのビアスパイクです。ふんわり香りが立ち、泡のクリーミーさが増し、包み込むような柔らかな口当たりになります。ディジェスティフに最適ですが、チョコレートトリュフやクリスマス菓子などのスイーツと合わせても幸せな気分になれそう。これから寒くなる時期に季節の風物詩となり、ビールの楽しみ方を広げるツールです。
飲み放題メニューのタップビールやFrau Gruberの試飲用ビール以外にも、様々なビールが空きました。サワー・バーレイワイン、ウェットホップのフレッシュホップエール、アイスボックをブレンドしバリク熟成したヴァイツェンボック、バレルエイジドのインペリアルスタウト、バルティックポーター、ラオホなど、ただ者ではない空気を身にまとった顔ぶれ。この時間帯になるとアルコールがいい具合に回って来て、経験値が異なるビアソムリエ同士が好き好きにコメントしあう様子は、勉強会でのテイスティングとはひと味違う良さがあります。
ビールへの関心という共通項だけで、初参加でも打ち解けた雰囲気の中、ビアソムリエの未来について語り合え、そしてちょっと学びにもなる集まりです。Biersommelier-Stammtischへの参加は、ジャパンビアソムリエ協会の有資格者限定です。興味がある方は、まず、認定講座の受講からどうぞ。たくさんのビアソムリエたちが、ビールを愛する仲間が増えるのを心待ちにしています。